スーツジャケットのボタン数の話
シングルブレステッド(1列ボタン)
1つ…インフォーマルなジャケットに多く、スーツジャケット向きではない。モーニングコートやディナージャケット(タキシード)などのフォーマルジャケットにも見られる。
2つ…今日のスーツジャケットの主流な意匠。第一次世界大戦前後から徐々に増えてきた。
3つ…一次世界大戦前後に主流だった、クラシカルな意匠であり、2000年代に入ってからは2つボタンが増えているため、「3つボタンは古臭くてダサい」というネガティブな印象を持たれがちだが、3ピースなどクラシカルな意匠のスーツとともに、再び流行しそうな兆しが見えている。また、一番上のボタンとボタンホールが折れ返っている「段返り3つボタン」と呼ばれる意匠はアメリカやイタリアのジャケットに多い。
4つ…多くはないが、稀に見られる。第一次世界大戦前後の主流な意匠。
5つ以上…今日では非常に稀。
ダブルブレステッド(2列ボタン)
2つ…稀。カジュアルジャケットに多い。
4つ…主流な意匠。
6つ…主流な意匠。
8つ以上…稀。
「3つボタンは古臭い」と言われることもあるが、今は2つボタンジャケットが多いだけであって、決して3つボタンのジャケットが着られないわけではない。スーツはファストファッションと違い、流行に左右されにくいからこそ、100年以上も廃れずに着られ続けてきたのだ。
また、「ダブルはシングルよりフォーマルで年配者向け」とも言われることがあるが、若い人がダブルブレストのジャケットを着たって何ら問題はないはずなのだ。
シングルブレステッドとダブルブレステッドの違いはその発祥が異なるというだけで(前者はモーニングコート、後者はフロックコートや英国海軍の制服が起源などと言われる)、どちらがよりフォーマルというものではない。
また、最近のダブルブレステッドジャケットはバブル経済期のそれとは違ってウエストが絞られており、細身の若者でも着こなせる。そもそも、バブル経済期のダボダボのジャケットがおかしいのだ。
最近では若い世代を狙った3つボタンのジャケットや、ダブルブレステッドジャケットを多く見かける。
スーツ文化の発展のためには、従来の誤った固定観念を取り去らなければならないのだ。
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