はじめに
結婚式で主に新郎新婦の父親が着る「モーニングには、ウィングカラーに縞のネクタイ」
このスタイルは今や欧米では「歴史ドラマの衣装」となっていることをご存知だろうか。
「葬儀にネクタイピンなどの金属製品やポケットチーフは華やかすぎるのでNG」
なんてルールは、おかしいということにお気づきだろうか。
日本人が明治・大正時代から今日まで引きずっている戦前の礼装ルールや、実は全くルール違反ではないのに、まことしやかに信じられている「過剰ルール」など、古い常識・誤った常識が広まっている日本のスーツ・礼服界。
紳士服が誕生した経緯と歴史、現代の英国におけるスーツ・礼装事情を知ることで、ルールを遵守した正統派であると同時に、時代に合った、世界に通用する着こなし方を学ぶことができる。
毎日のスーツから冠婚葬祭の礼装まで、伝統を重んじつつ時代に見合ったアレンジを加えつづける英国紳士に倣った、従来とは一味違った着こなしを提案。
これを読まずに紳士服は語れない。
最初から最後まで全て読んでいただければ本当は良いのだが、全部読まなくとも理解していただけるように、例えば「近く、モーニングを着る機会があるんだけれど…」という方には、とりあえずモーニングの章だけ読んでいただけば良い、というような要領で書いていくため、何度も同じような説明をする場合があるが、そこはどうか了承していただきたい。